約808万円:平成17年3月22日大阪地裁判決

53歳女性が、同僚に声を掛けられてビル敷地の植込みの間から歩道上に出た際、業務中の男性の自転車と衝突して転倒して腰椎を骨折し、後遺障害併合10級及び腰部脊柱変形の障害を残した事例。

被害者の女性は、植込みの間から出る際に左右の安全確認をしなかったものとされましたが、特に走ることもなく、公開空地という歩道上で衝突したため、歩行者に過失相殺を認めず、自転車が100%悪いと判断されました。

なお、ここで問題となっている植込みは高さが低く「自転車側に前方不注視がなければ、歩行者に気付かないといったことはない。」とされたための過失判断です。

この判例をもう少しだけ突っ込んで見てみましょう。

この判例では、歩行者に多少の左右安全確認義務違反があっても「通常の歩行をしていたのであれば過失なし」とすべきと判断されました。
つまり、自転車側は過失割合に関して「歩行者が通常の歩行でなかったならば」それを問題にすることができることになります。

また、自転車側から「歩行者の確認がしづらいとは言えない状況」であったこともポイントです。
すなわち、植込みの高さによっては過失判断が変わることになると言える訳です。

この点、もし歩行者が自転車から視認しづらい状況であった場合には、歩行者もしっかりと左右を確認すべきことや、自転車等に自らの存在を気付かせるための行動等が求められることとなります。

こういった状況において、歩行者に10~20%の過失を認定した判例も結構ありますので、歩行者も必要な確認をしっかり行うよう心がけましょう。
実際に、歩行者が自転車側から確認しづらい場所から「小走りで進出」した場合に20%の過失が認められた東京地裁平成18年判決などもあります。つまり、「通常の歩行ではなかった」場合という訳です。

PAGE TOP