古流剣術・忍術の口伝に「足は手に、手は刀に従う」等があり、これは下記のような身体運動連鎖からも理に適うものであることが分かります。
- 手関節~肩甲骨の上行性運動連鎖
- 肩甲骨~胸郭・脊柱への運動連鎖
- 肩甲骨と骨盤との連動
- 骨盤後傾による下行性運動連鎖
- スパイラルライン
- その他
これらには立甲の本質と共通する神経活動等が見受けられ、手腕からの優れた身体調整機構を活用できることに気づけるでしょう。
木刀などの「持ち方 = 把持・握り」からその「重さ」を有効活用して【手首~肘~肩のゼロポジション】等効率よく繋ぎ、身体連動を活用するよう心がけるとよいです。

また、下記の事実を踏まえて必要かつ最適な末端・遠位の筋・神経活動に着目し、「遠位・近位を対応させることのできる意識」などを活用できるようにするとよいでしょう。
- 運動神経は複数の筋繊維に繋がり、筋肉はある程度まとまって収縮する。
- 運動神経と繋がる筋繊維の数は、脳・脊髄から近いほど多く、遠いほど少ない。
遠位で大きな力を出そうとしたり精妙に動かそうとすると、近位(体幹側)にはより強い筋収縮が生じます。
逆に、遠位(末端側)の筋腱が安定していれば、近位への影響が少なくなります。
そのため、肘以遠に一定の状態を作出すれば、簡単に「肩の力みが抜けた状態」を作出することができます。
例えば、横指横切や肘切断、手首のゼロポジション等は近位の弛緩を誘導できる技術であり、肩の抗牽引力の活用が可能になります。
手腕から体幹への身体調整作用が働く状態を保持でき、自然呼吸を阻害する要素(特にC5~7に係る要素)が激減するため、動作中における呼吸も楽になって持久力の向上にも繋がります。
肩の力みを自在に抜けるようになると、身体の螺旋がさらに知覚・認識し易くなり、座っていてもそれを簡単に活用できるようになります。

横指横切や肘切断、手首のゼロポジションなどの技術は、知識がなければ正しく活用できません。
「知識に基づいて意識して使い、常態化する」
すなわち、有意識で練習・鍛錬し、無意識でそれが生じる身体状態を作り出すことが重要です。
知識は気づき・創意工夫・活用に繋がります。
例えば「握る力と前鋸筋の正の相関関係」の知識があれば、その活用法をすぐに模索することができ、螺旋 = スパイラルラインの有効活用ができるでしょう。
まずは立甲に関する基本的事項等を確認し、自身の気づきに役立てるようにしましょう。